「人形の夢」日氣豫報

我が家に大量にある90年代〜の韓国ポップスのカセットやCDを見ると、
たいてい「どこで買ったか」「最初に買おうと思ったきっかけ」を思い出せるのですが、
ものすごく好きで好きで何度も聴いて、アルバムも揃えているのに(ベストがないな、そういえば)、
「どこで最初に聴いたのか」がまったく思い出せないグループがいます。

それがイルギイェーボ(일기예보 日氣豫報)です。

今はなき雑誌(こんなんばっか)「POP ASIA」のライターが選ぶ96年ベスト10に、
私はイルギイェーボの2集をトップに選んでいて、3集よりもよく聴いたと書いてありました。
1と2集はカセットでソウルのMusic Landでまとめて買ったのは覚えているのですが、
3集(95年発売)はCDで持っていて、私の性質上いきなり知らない歌手のCDを買うとは思えないので
上記のカセットが気に入っているうちに新譜として出た3集を買ったんだと思うのだけど、
なんで1と2集を(しかもまとめて)買ったのか全然思い出せないのです。
当時、韓国でもイルギイェーボはそれほど大メジャーというわけではなかった筈で、
一番考えられるのはラジオで聴いていいなと思って買った、なのですが、
その印象がまったく残っていないのが不思議なんですよね…。
 


↑イルギイェーボが大メジャーになった3集(左:ナドゥル나들 右:カン・ヒョンミン강현민)


イルギイェーボというと、日本で韓流が流行始めた頃、
フジテレビの月9「東京湾景」という突っ込みどころの多かったドラマの主題歌に取り上げられ、
既に解散して数年経っているというのに日本盤まで出てしまったことで一瞬有名になりました。
その日本盤はラストアルバムである5集の再発売なわけですが、
私はあんまりこの5集を評価してなかったので、なんでこのアルバム(曲)なんだ、
センスねーなー、と悪態をついていたことを思い出しました…(とほほ、恥ずかすぃ)。

イルギイェーボの3集の大ヒットといえば「좋아좋아(好き好き)」で、
つい最近、EXOがショーケース?でカバーしたので若いファンにもちょろっと知られていると思います。
その大ヒットの後続曲となったのが「인형의 꿈(人形の夢)」です。
そして、イルギイェーボの曲で、おそらく最も多くの歌手に歌われている曲がコレかと思われます。
レコーディングされているだけでも、
・Loveholic  ・ユリサンジャ ・ソ・ヨンウン ・ソ・ジヨン ・チョン・スヨン
…あっ、これだけか…

ま、気を取り直して、そのバリエーションを聴いていただきたいと思います。

●オリジナル 일기예보 イルギイェーボ

私、この変なMVのせいで、「人形」=「僕」であることを
かなり長い間気がつかずに過ごしていましたよw(MVのせいだけ?)


●Lovehoric

Loveholicはカン・ヒョンミンが解散後に作ったバンドで、イルギイェーボ時代の曲は
他にも例の月9ソング「그대만 있다면(あなたさえいれば)」を歌ってます。
イルギイェーボは3人時代からそれぞれの音楽性に特徴があったので、
脱退後、解散後に発表した作品がいずれも「ああやっぱりね」なアルバムだったですね。


●서영은 ソ・ヨンウン

ソ・ヨンウン3枚目のリメイクアルバムより。彼女は「좋아좋아」もリメイクしてます。
アレンジ的にはまあスタンダードな感じでしょうか。


●서지영 ソ・ジヨン

S#ARPの八重歯、じへばあの天敵、リュ・シウォンの元カノことソ・ジヨンです。
アレンジがちょっと変わっていて、なかなか新鮮です。

●나들 ナドゥル


ナドゥルはソロ活動でもけっこうイルギイェーボの曲をたくさんやっていて、
カン・ヒョンミンは昔の曲は自分の曲しかやりませんが彼はこだわらずあれこれ演奏しています。
今、解散から15年経って、あらためて彼等のアルバムを順に聴き直すと、
イルギイェーボはナドゥルのグループだったんだなあと思います…。

●BRICK

カン・ヒョンミンが2012年に結成した3ピースバンド、BRICKバージョン。
これがリメイクの中では一番かな…。(あくまでも好みです)
ボーカルは、PINOCCIOでK2キム・ソンミョンの次の次のボーカルだった人。

今回は1曲だけ取り上げたイルギイェーボですが、
そのうち気が向いたら詳しく取り上げるかもしれません。
誰も待ってないかもしれませんが、ぼちぼちお届けいたします。はい。



 


リメイク作品は数あれど…

90年代の半ば頃、韓国歌謡界ではちょっとしたリメイクブームがありました。
リメイク、つまりカバー。
そのときブームを牽引したのは015Bの5集で、
ナミ나미「悲しい縁 슬픈 인연」チョー・ヨンピル조용필「おかっぱ頭 단발머리」の2曲をヒットさせました。
当時、チョー・ヨンピルのカバーというのは実は歌謡界の禁忌wで、誰も挑戦する人がいませんでした。
それが、015Bの当時の所属事務所(Daeyoung AV)の社長と

チョー・ヨンピルが浅からぬ因縁があり、(社長が昔マネージャーだった)
ダメ元で頼んでみたら案外あっさりOKが出たのでカバーしたんだそうです。


「悲しい縁」の方は元をたどるとこれが橋幸夫と塚田三喜夫の持ち歌「絆」(どちらも84年)で、

長いこと作者も韓国人とされていましたが、
今ではちゃんとクレジットにも宇崎竜童作曲と出て来ています。

著作権協会の登録でも作詞は阿木燿子とあるんだけど…これは違うよねw

元々ナミが日本で(日本語で)「絆」をカバーしたレコードを出し、

そのB面が韓国語の「悲しい縁」(作詞家クレジットはパク・コノ박건호)出し、

良い曲だったから韓国でも歌うことになったんじゃないでしょうか。

当時(85年)は日本の歌をカバーすること自体が禁止だったので、

そこまで捏造(…。)していたわけですが

(そうでなければクレジットに「外国曲」と出ていたのでは…)、

2000年代になってからは元に戻ってきています。(でも作詞は違うだろー!)

それにしても日本では知る人ぞ知る曲でしょうに、

韓国では録音されているだけで6~7種類ほどのリメイクがある、
つまり元歌からは想像できないほど韓国でヒットした曲なわけです。

今回とりあげるのは、↑のパターンとは違いがあれど、
「元歌よりヒットしちゃったカバー曲」です。

ただ…

最初に言っちゃいますと…



そんなに数がありませんでした!!!!

あははははは…はぁ。

あれだけリメイクブームが長く続き、7080ブームも90年代ブームも続いているのに、
元歌を越えるリメイクヒットというのがこんなに少ないとは思いませんでしたねー…。
まあ、元歌が大ヒットしたからリメイクされてるといえばそれまでなんですが。

とはいえ、それじゃ企画が進みませんので早速行かせていただきます。

まず1曲目は「먼지가 되어(塵になって)」。
昨年、オーディション番組でロイ・キム로이킴が取り上げて音源的にヒットしたのが
一番最近のリメイクかと思いますが、
その原曲とされているのがキム・グァンソクの먼지가 되어。
でもキム・グァンソクは生前にこの曲をアルバム収録はしておりませんで、
2000年代に発売されたライブアルバムに収録されています。
しかしその前に、というか真っ先にこの曲をリメイクしたのがヒットし、
人口に膾炙したのはこちらでした。

●이윤수「먼지가 되어(塵になって)」(1991)


これこれ。これですよ。イー・ユンス。この1曲で多くの人に記憶されるイー・ユンス…。
今でもこれが原曲だと思っている韓国人は多そうですが、私もそう思っていました。
しかしその原曲は実はコレ↓

●이미키「먼지가 되어(塵になって)」(1987)


今もたまに懐メロ番組に出てくるイー・ミキの2集から。
このアルバム、タイトルは「知性と愛」なんですが、
その割にはロゴがミキ●●●のフォントで(むにゃむにゃ)…

でもって私が一番好きなのはPositionのヤツかな!


次。
まず原曲を聴いていただきましょう。ライブでお届けいたします。
●에스더 「송애(送愛)」(1997)


エスダー(ハン・エスダー)といえば小虎隊。初代女子ボーカルです。
彼女のファーストソロアルバムに収録された曲ですが、
地味に話題を呼んだくらいどまりの売れ行きだったため、
作曲家であるシン・ジェホンがこの曲を惜しんで歌詞をつけ直したリメイクがこちら↓

●임재범 「너를 위해(君のために)」(2000)


2011年、「私は歌手だ」で視聴者の号泣を誘った時のものです。
イム・ジェボムも今ではだいぶ長髪になりましたw
たぶん、これに原曲があるということ自体があまり知られてないかもしれないです。
作詞者は別人ですが、youtubeのコメントを見てるとどっちの歌詞も評判がいいですね。

イム・ジェボム関連でもう一曲。
リメイク曲とはまたちょっと違うタイプです。
作曲は↑と同じシン・ジェホン。


●임재범 「사랑보다 깊은 상처(愛よりも深い傷)」(1997)


これのリメイクがこちら↓
●박정현 duet with 임재범 「사랑보다 깊은 상처」(1998)


パク・チョンヒョンのデビューアルバム収録曲です。
イム・ジェボムとのデュエット …ということになってますが、実は違って、
イム・ジェボム曲の歌部分を差し替えて部分的に重ねてるということなんですね。
だからカラオケも丸々同じです。

●이장우 「널 만난 이후(君に出会った後)」(1996)


015B客員歌手出身、イー・ジャンウ君の2集「長友」から。
当時のヒットメーカー、チェ・スジョン최수정女史の作詞作曲です。
このアルバム自体、彼の前作に続いてヒットしたアルバムでした。
でもそれを遥かに凌いでヒットしたのがリメイク曲の方。

●S.E.S「Oh, my love」(1997)
 
S.E.Sも既に今のファンには知られないようになったみたいで…(隔世の感がある…)
当時増えつつあったガールグループ(という呼び方はなかった)中で、
最も足さばきが美しい、と(私の友人に)言われたダンスをご覧ください↑。
で、このリメイク。デビュー曲「I'm your girl」の後続曲で、
この曲で活動を始めた当初、なんと「盗作じゃね?」と話題になりました。
日本はまだインターネット草創期だったけど、韓国は既にPC通信以来の一大ネット社会。
飛ぶ鳥を落とす勢いのアイドルとあって、それなりの問題になったものです。
…いや、どう見ても聴いても同じ曲でしょう!w
作詞作曲のMoonstoneがチェ・スジョン女史の別名だというのは
有名な話だと思ったんですがそうでもなかったみたいで、
これもこの話を大きくしてしまった一因でした。

こういうつまらない噂から問題になることって結構あるような気がします…。
 


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